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出品作家一覧

概要

会  場松坂屋上野店 本館6階催事場 [会場情報]
〒110-8503 東京都台東区上野3丁目29番5号 電話03-3832-1111
会  期令和3年10月26日(火)~31日(日)
午前10時~午後8時(最終日は午後5時閉場。入場は閉場の30分前まで)
主  催京都工芸美術作家協会
企  画合同会社Dの3行目
ロジスティクスパートナーTERRADA ART ASSIST 株式会社
後  援京都府・京都市NHK朝日新聞社産経新聞社日本経済新聞社毎日新聞社読売新聞社京都新聞東京新聞(一社)共同通信社西日本旅客鉄道株式会社
助  成文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
入  場  料大人(高校生を除く18歳以上) 500円
  • 小・中・高校生及び幼児、身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳等の交付を受けている人及びその介護者は無料
  • 大丸松坂屋お得意様ゴールドカード、大丸松坂屋ゴールドカードの提示でご本人に限り無料/大丸松坂屋カード等(アプリ会員、ポイントカード等を含む)の提示で100円引き
  • チケットの販売は当日券のみ
Instagram @Kyotokogeitokyo

会場風景

  • 京都工芸美術作家協会展@東京
  • 京都工芸美術作家協会展@東京
  • 京都工芸美術作家協会展@東京
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3Dツアー

360°方向視点を変えられます。◎をクリック(タップ)で作品・作家詳細が表示されます。

関連事業

出品作家によるギャラリートークの開催

10月26日(火)、30日(土)、31日(日)
各日とも13時から展覧会場において開催予定
(事前申し込み不要、無料、ただし入場料は必要)

出品作家が、それぞれの分野の技術のことや苦労話などをお話させていただきます。また、皆さんのご質問等にもお答えしたいと思っております。
お気軽にご参加ください

※ 新型コロナウイルス感染症の今後の状況により予定を変更する場合もございますので、ご了承ください。


図録の出版・販売

出品作品の全てを一作品一頁ずつに納めたフルカラーの展覧会図録です。
それぞれの頁からQRコードで京都工芸美術作家協会の個人ページに繋がり、今後も作家の最新情報にアクセスできます。
巻頭の挨拶、解説、そして巻末の出品者略歴一覧にも英訳付です。
さらに、染織や陶芸など各分野の技法紹介も、写真と英訳付で掲載しています。
この一冊で京都の工芸の今を知ることが出来ます。

価格 ¥2,500(税込)

小品展(展示・販売)

松坂屋上野展 本館7階の美術画廊等において開催
(入場無料、売上金の一部をチャリティーとして活用させていただきます)

本館6階本展と同時開催の小品展では、本館7階美術画廊及びイベントスペース等において、本展に出品中の作家から76名が展示・販売をしております。
本展と合わせて、小品展もご覧いただき、京都の工芸美術の精華をより身近に感じてください。





開催主旨

多岐にわたる分野の作家団体という全国でも希有な存在であり、昭和21年(1946年)の設立以来75年の長きにわたり、新しい造形的表現による美を追究し続けてきた京都工芸美術作家協会が、京都に受け継がれてきた伝統的技法や卓越した技術、多彩な工芸美術の魅力を広く全国に発信するため、文化施設が集積し、文化芸術の中心地の一つである東京・上野において、文化芸術活動のイノベーションに繋がる、新たな展覧会を開催いたします。

1000年の伝統と革新が昇華した京都を代表する工芸家150人の作品群で、松坂屋上野店の空間を装置し、日本の芸術文化をリードしてきた上野文化ゾーンに、京都の『KOGEI』の美意識を体感する場所を創出しました。

日本芸術院会員や人間国宝(重要無形文化財保持者)である会員の作品など、是非この機会にご高覧ください。



理事長挨拶

理事長

京都の文化は四季折々の人々の暮らしと自然との調和の中で厳しく磨き上げられ、それぞれの時代を生き抜いた証として、美術工芸の世界に、その技法はもちろん、創作の要となる精神そのものが脈々と受け継がれています。

京都工芸美術作家協会が1946年に創立されて以来、75年となります。当会は京都を中心に活動する染織、陶芸、漆芸、金工、人形、ガラス、木工、七宝、截金、竹工、金石、石宝など、多岐にわたる作家が集まり、公募展の会派を超えた作家集団として、日本の工芸史に確かな足跡を刻んでまいりました。

美術工芸について、世界中に共通しているのは、その国、その地方、その土地それぞれの気候風土に基づく文化的な習慣が根底にあることだと思います。

京都の地で長い年月をかけて培われた工芸美術を全国各地でご覧いただく機会を持ちたいとの積年の願いを叶えるべく、文化庁の御支援のもと計画をしてまいりました。その皮切りとして、この度、「京都工芸美術作家協会展@東京-京都が、KOGEIする-」を松坂屋上野店にて開催する運びとなりました。

会員各自が素材と真摯に向き合い、各々の感覚と特色ある技術と技法を駆使して現代の工芸を追求しています。この機会に、多くの皆様に御観覧いただき、それぞれの作品に親しんでいただければ幸いに存じます。

本展の開催に当たり多大なる御協力、御支援を賜りました関係各位に対し、心から御礼申し上げます。

京都工芸美術作家協会 理事長 羽田 登

[English : Greeting]

Greeting

The culture of Kyoto developed in harmony with the lives of the people of Kyoto and the seasonal beauty of Kyoto's natural environment, but also under strict expectations of excellence. Each generation passed on their techniques and creative spirit to the next generation as evidence of their contribution to the world of Kogei, the world of Japanese arts and crafts.

Established in 1946, the Kyoto Kogei Association now celebrates its 75th anniversary. The Association comprises a diverse range of artists from various exhibiting groups predominantly from Kyoto and involved in dyeing and weaving, ceramics, urushi (lacquerwork), metalwork, dollmaking, glassmaking, woodwork, shippo (cloisonné), kirikane (gold leaf cutting), bamboo crafts, metal and gemstone crafts, and sekiho (mineral). As a group of artists that does much more than simply hold public exhibitions, we have left a definite mark on the history of Kogei, the world of Japanese arts and crafts.

Cultures around the world share a common cultural custom to root arts and crafts in the characteristics of their country, their region, their climate, and their natural environment.

For many years, we have sought to create an opportunity for people from all over Japan to view the arts and crafts that the people of Kyoto have developed over the centuries. We have worked hard to plan such an exhibition with support from the Agency for Cultural Affairs. The exhibition is scheduled to be held at the Matsuzakaya Ueno Department Store and is titled Kyoto Kogei Association in Tokyo: Kyoto does Crafts. This is the first of what we hope will be many such events.

Each of our members works intimately with their materials and uses their unique ideas and techniques in the pursuit of modern-day Kogei. We sincerely hope that this exhibition will provide a platform for many people to gain a greater understanding and appreciation of our work.

I would like to finish by taking this opportunity to express my gratitude to all of those whose extensive cooperation and support has made this exhibition possible.

Noboru Hata
President
Kyoto Kogei Association


お祝いのことば

京都をはじめ、戦後の日本の工芸美術を牽引してきた京都工芸美術作家協会が、創立75周年を迎える記念の年に、東京において展覧会を開催されますことに、心よりお祝いを申し上げます。

まず、このコロナ禍の中での開催に御尽力された羽田登理事長をはじめ、会員の皆様方の御熱意と御努力に深く敬意を表します。

さて、悠久の歴史を有する京都は、世界に誇る多くの優れた芸術を生み出し、育んでまいりました。なかでも工芸美術は、その時代の新しい技法を取り入れ、伝統と現代を融合させながら発展してきたところです。とりわけ、京都工芸美術作家協会は、昭和21年の創立以来、部門や会派を超えて工芸美術の振興と発展を目指す作家団体として、京都を中心に活躍する染織、陶芸、漆芸、金工、人形、ガラス、木竹、七宝など、多岐にわたる分野の作家が集まり、京都のみならず日本の工芸美術の発展を牽引してこられました。

本展覧会では、京都・日本を代表する作家の皆様の力作150点が出品されており、それぞれの卓越した技術と多彩な表現や意匠に施された美意識を存分に味わっていただけることと存じます。

来年度には、文化庁の京都移転を控えております。京都が「文化首都」として、文化の力で地域を活性化させ、日本の文化政策をリードできるよう、今後とも文化庁をはじめ、関係の皆様と連携して日本文化を国内外に発信してまいりたいと考えておりますので、引き続き皆様方の御支援を賜りますようお願い申し上げます。

結びに、京都工芸美術作家協会のますますの御発展と、皆様の一層の御活躍を心から祈念いたします。

京都府知事 西脇隆俊

[English : Congratulatory Message]

Congratulatory Message

The Kyoto Kogei Association has long been the driving force of post-war arts and crafts from all over Japan. In the year that the association celebrates its 75th anniversary, I would like offer my warmest congratulations on the hosting of this momentous exhibition in Tokyo.

Allow me to begin by paying tribute to President Noboru Hata and all association members for their enthusiastic, untiring approach to this exhibition despite the impacts of the Covid-19 pandemic.

The ancient city of Kyoto has produced and developed numerous world-class works of art. In particular, the city’s arts and crafts have incorporated contemporary techniques and progressed while fusing tradition and modernity. Since its establishment in 1946, the Kyoto Kogei Association has poured its efforts into promoting and developing arts and crafts while exceeding divisional and group boundaries. With artists from various fields—such as dyeing and weaving, ceramics, urushi lacquerwork, metalwork, dollmaking, glassmaking, wood and bamboo crafts, and shippo cloisonné—the association has paved the way for the development of arts and crafts from across Japan.

In this exhibition, leading artists from Kyoto and the rest of Japan will exhibit a total of 150 works of art. I am in no doubt that all who visit will thoroughly enjoy the outstanding techniques on show, as well as the sense of beauty provided by the diverse expressions and designs.

The Agency for Cultural Affairs will begin its move to Kyoto in the next fiscal year. As the culture capital of Japan, to ensure that we can utilize the influence of culture to revitalize communities and lead national cultural policies, we will work in tandem with the agency and other related parties to communicate Japanese cultures throughout Japan and the rest of the world. I ask for your continued support as we engage in efforts to do so.

To conclude, I look forward to the continued development and success of the Kyoto Kogei Association and its valued members.

Takatoshi Nishiwaki
Governor of Kyoto Prefecture


「京都工芸美術作家協会展@東京」によせて

京都は、工芸作家の坩堝である。ありとあらゆる作風の工芸作家がおり、歴史上、常に新しい動向を牽引してきた。20世紀以降に絞って見ても、昭和2年(1927年)、第8回帝展に創設された第4部美術工芸において<個人作家の表現としての工芸>を本格的にスタートさせた京都の先人たち――例えば陶芸の五代清水六兵衞、楠部彌弌、森野嘉光、あるいは染織の皆川月華や山鹿清華ら工芸作家草創期の作り手たちの影響を受けた作家たちが、21世紀の現在もそれぞれの仕事を展開し、日展系作家の表現は拡張し続けている。
戦後は、新匠美術工芸会、四耕会、パンリアル、走泥社、女流陶芸、染色集団無限大などのリベラリズムや前衛意識の発露の一方、確かな技術と創意で伝統工芸を担う日本工芸会の森口華弘や羽田登喜男らに続く、その子息や弟子筋が、現在、更なる表現の拡がりを見せる。あるいは京都市立芸術大学を中心に、近隣の大学や東京藝術大学に学んだ者も含め、大学教育の工芸アカデミズムもまたこの地域の多くの後進を育成してきた。
つまり、作家の表現としての創意を核に、リベラリズム、アヴァンギャルド、フェミニズム、アカデミズム、そして生業にもし得るプロフェッショナリズムまで、京都の工芸は全てを内包してきたのである。その裾野は一方で地場産業と繋がり、他方では、茶道・華道などの日本文化、あるいは日本画をはじめとする様々な美術やデザインと、歴史的にも繋がっている。例えば日本美術の魅力を代表する近世の<琳派>が、画家のみならず、漆や陶磁器や金工など様々な工芸の担い手や、表具師をはじめとする優れた職人の仕事とともに形成されたことは言うまでもない。
そのような、京都における作り手同士の緊密で豊かなつながりを象徴する団体が、「京都工芸美術作家協会」である。初代理事長は冒頭の山鹿清華であった。この協会が、昭和21年(1946年)10月という、戦後間もない、まだ恐らくは食べる事もままならない時期に、素材領域や会派を超えた作家団体として創設されたことも頷ける。現在は、染色作家羽田登を理事長に、染織部会、陶芸部会、漆芸部会、金工部会、諸工芸部会の5部会による約350人の意識の高い作家たちが活動している。

強いて関東など他の地域と比較して、この京都の作家たちの作品傾向を指摘するならば、形態・模様とも、具象的なものから抽象的なものまで幅広く存在する多様性、各自の主張がそれぞれに明確であり、またどちらかと言えば装飾に躊躇がなく、色彩も自由に使い得ることであろうか。作家たちは、一種の派手さも<雅>に変換する力量を備えている。
ストイックに徹するよりは、率直に自身の個性を造形言語により示すことで、京都では作家としての存在を互いに認め合うということなのであろう。オブジェもファイバーアートも伝統工芸も、京都では当然のように共存している。そうした京都の個性尊重の姿勢は、今日的な国際性にも通じるであろう。

私はかねてより、工芸作家を含め、芸術家は全て<社会的存在>であると主張してきたが、京都には、それが無理なく通用する空気がある。ともすれば、芸術や文化が余剰の産物の如く見なされがちな日本において、京都には、いわば日々の食事と同様に<工芸は必須>と言い切れる実績がある。
今回、その頼もしい工芸という芸術の濃密な風を東京にもたらすこととなった。京都工芸美術作家協会展の意欲作の数々が、昨今の未曽有の閉塞感を鮮やかに打開してくれることを大いに期待している。

工芸史家・多摩美術大学教授 外舘和子

[English : Thoughts on the Kyoto Kogei Association in Tokyo]

Thoughts on the Kyoto Kogei Association in Tokyo

Kyoto is a melting pot of different craftsmen and women. It is home to every possible style, and has continued to lead new trends throughout its history. If we look back to the 20th century, for example, artists from Kyoto instigated crafts of individual expression in earnest in part four of the 8th Teiten Exhibition in 1927. These artists included ceramists such as Kiyomizu Rokubey V, Kusube Yaichi, and Morino Kako, and textile artists such as Minagawa Gekka and Yamaga Seika and other pioneers of Japanese crafts. Artists in the 21st century have inherited these styles, adapted them to their own work, and expanded the expressions of Nitten artists.
Post-war, Japan saw the emergence of liberalism and avant-garde art with the Shinsho Bijutsu Kogei-kai, the Shiko-kai, the Pan-real Bijutsu Kyokai, the Sodeisha, the Joryu Togei (Women's association of ceramic art), and the Senshoku Shudan Mugendai. On the other hand, Moriguchi Kako, Hata Tokio, and others from the Japan Kogei Association carried Japan’s traditional crafts forward with sure techniques and originality. Today, their children and pupils are expanding their expressions even further. Elsewhere, the Kyoto City University of Arts, nearby universities, Tokyo University of the Arts, and other art academies have developed numerous individuals for the next generation of art in Kyoto.
That is, centered on the creative expressions of these artists, crafts in Kyoto have encompassed everything from liberalism, avant-garde, feminism, and academism to the professionalism of the occupation. On the one hand, this vast range of artwork is linked to local industries, while historically, it is also linked to the tea ceremony, flower arrangement, and other Japanese cultures, as well as traditional Japanese paintings and other elements of art and design. For example, the Rimpa school of painting, which is representative of early modern Japanese art, was not only shaped by painters, but by a range of outstanding craftspeople such as lacquer artisans, potters, metalworkers, and even picture framers.
The Kyoto Kogei Association is symbolic of the close, abundant links among Kogei artists in Kyoto. The association—whose first president was the above-mentioned Yamaga Seika—was established not long after the war in October 1946, at a time when even accessing food might have been a challenge. It was set up as a body of artists dealing with wide-ranging mediums and from various groups. Today, with textile artist Noboru Hata as president, the association comprises around 350 highly artistic individuals working in five divisions: Dyeing and weaving, ceramics, urushi lacquerwork, metalworking, and other crafts.

Compared to artists in Kanto and other regions, the styles of artists active in Kyoto are incredibly diverse, in that the shapes and patterns they use are everything from the concrete to the abstract. Moreover, their individual perspectives are clear, their decorations are free of hesitation, and they use color liberally. Each artist has the ability to transform the flamboyant into the elegant.
Rather than being stoic, these artists forthrightly display their individuality through visual language. In fact, this approach perhaps shows the artists’ recognition of one another. In Kyoto, artistic craft objects, fiber art, and traditional crafts coexist as a matter of course. Kyoto’s respect for individuality is a key trait in today’s international society.

I have always emphasized that artists are social entities, and in Kyoto, this is a natural way of thinking.In Japan overall, art and culture tend to be thought of as surplus products, but in Kyoto, crafts have been a necessity for people to live as human beings, much like daily meals.
With this exhibition, the dependable arts of Kyoto are to go on display in Tokyo. I sincerely hope that the numerous, ambitious works of the Kyoto Kogei Association can refresh and break open the recent sense of entrapment brought about by the unprecedented pandemic.

Kazuko Todate
Art Historian and Professor
Tama Art University


京のアートシーンを支える京都工芸美術作家協会

京都工芸美術作家協会は、全国的に他に類を見ない希少な作家集団である。染織、陶芸、漆芸、金工、人形、ガラス、木工、七宝、截金、竹工、金石、石宝と多岐にわたる分野の作家が、特定の団体や会派に偏ることなく、ただ“工芸美術”という括りで集まり、新しい感覚の造形表現による美を追求してきた。日本芸術院会員や人間国宝をはじめとする各分野のクオリティーの高い作家が数多く参加しており、会員総数約350名を擁するという層の厚さも特筆的である。京都という長い歴史と多彩な文化を花開かせてきた土壌を基盤にしてこそ形成された団体で、さらに、京都には美術系教育機関も多く、協会員は工房主以外に高校や専門学校、大学、研究所などの教員や研究員を務める者も多く、様々な意味から後進の育成の役割を担っている団体でもある。

昭和21年(1946年)の創立以来、同協会は展覧会を軸に実績を積み重ね、互いに切磋琢磨していくことで工芸美術の振興と発展を目指してきた。毎年定期的に開かれてきた協会展のほか、5年毎に開催されている大々的な周年記念展では、より多くの作家の大作を見ることができる。また昔から東京のほか福岡などの地方でも展覧会を開いてきたが、平成13年(2001)にはイギリスのエディンバラで、同28年、30年には中国上海での海外展を、同23年の国民文化祭に併せては南丹市への巡回、同27年琳派400年記念では京都日本画家協会とともに「京に生きる琳派の美」展を京都・東京で開催した。近頃では、国内外を問わず美術館やギャラリーの企画による協会共催の会員選抜展や有志展、招待展にも積極的に参加している。

会員相互の異分野間の横断的な交流は、伝統的な素材や技法に囚われず、作り手が改めて素材や技法に向き合う良い機会となり、新たな表現を生み出す土壌となっており、特定の団体や会派に偏ることがないため、それぞれの個性を自由に発揮して新たな表現を試すことのできる場ともなっている。

近年、同協会は作家情報のアーカイブ事業や時代に合わせた発信力の強化事業への取り組みを図っている。特にITを使った発信力の強化は避けて通れない重要な課題となる昨今、開設されたHPは、作家のITに対する理解度の差にかかわらず、世界の使い手と作り手である会員とを結ぶ新たな手段となり、個々の表現を世界へ紹介する大きな一歩として役立っている。達観した物言いをすれば、京都の工芸美術の底上げであり、個が集う京都ブランドの発信といってもいい。

新型コロナウイルス禍において展覧会や情報発信、そしてホテルやショップとのコラボレーションにも力を入れており、活動はかなり活発である。会員たちは、作品の制作以外に個々の仕事や後進の育成など多様な役割を抱えながらも、積極的な活動をすることで協会でしかできない共有する工芸の危機と戦っているように私には見える。その工芸の明るい未来に向けた努力が実ってきたのか、少しずつ海外とのやりとりも増えてきており、協会全体としてはアフターコロナへの期待感も漂っているとのことで、個では果たせない団体での力強さや可能性を感じさせてくれる。

最後に、こうした京都工芸美術作家協会の担う大きな役割と努力がこれからも継続的に次世代へと繋がっていき、同協会がますます発展していくことを祈念したい。

京都文化博物館 学芸課長 洲鎌佐智子

[English : The Kyoto Kogei Association—Supporting Kyoto's Art Scene]

The Kyoto Kogei Association—Supporting Kyoto's Art Scene

The Kyoto Kogei Association is a rare body of artists with no other like it in Japan. The artists hail from diverse fields such as dyeing and weaving, ceramics, urushi lacquerwork, metalwork, dollmaking, glassmaking, woodwork, shippo cloisonné, kirikane gold leaf cutting, bamboo crafts, metal and gemstone crafts, and sekiho, and are not associated with any specific organization or group. They have come together under the banner of "Kogei" and have continued their pursuit of beauty through new artistic expressions. The association comprises numerous first-rate artists in each field, including members of the Japan Art Academy and living national treasures, and with around 350 members in total, its sheer scale is remarkable. It is a group that has been formed precisely because of the long history and wide-ranging cultures of Kyoto. Further, Kyoto is home to a great many art schools, and in addition to working at their own workshops, many association members also work as instructors at senior high schools, specialist colleges, universities, and research institutes, and even as researchers themselves. In a variety of ways, the association is entrusted with developing the next generation of artists.

Since its establishment in 1946, the association has built up an extensive track record predominantly through exhibitions, and through friendly rivalry, its artists have sought to promote and develop the field of Kogei. In addition to an annual exhibition, the association also hosts a large-scale anniversary exhibition every five years, where visitors can see larger works from a greater number of artists. Moreover, while the association has long hosted exhibitions in Tokyo, Fukuoka, and other regions in Japan, it has also gone overseas, with an exhibition in Edinburgh, UK, in 2001, and two exhibitions in Shanghai, China, in 2016 and 2018. In 2011, the association held an exhibition in Nantan City in Kyoto to coincide with the National Cultural Festival, while in 2015, it hosted the Beauty of Rimpa in Kyoto exhibition alongside the Kyoto Nihonga Association to celebrate the 400th anniversary of the Rimpa school of painting in both Kyoto and Tokyo. In recent years, the association has teamed up with art museums and galleries in both Japan and abroad to proactively participate in member-selected, voluntary, and invitational exhibitions.

Cross-genre interaction among members provides fantastic opportunities for the artists to confront new materials and methods, and not be constrained by tradition. This provides a foundation for the creation of new expressions, and as the artists are not influenced by any particular organizations or groups, the association functions as a platform where artists can try out new things while freely demonstrating their individuality.

Recently, the association has been working on an archiving project to bring together artist information, and a project to reinforce its communicational capabilities so as to keep up with the times. In particular, the strengthening of its communicational capabilities using IT is essential for the world we live in today. Its new website has provided a new means to link global users with member artists, regardless of their understanding of IT, and is a hugely important step forward to showcasing the individuality of the artists to the rest of the world. From a broader perspective, it is a way to raise the level of Kyoto's Kogei, and also a way to send out the Kyoto brand where individuals can come gather.

Amid the Covid-19 pandemic, the association has been extremely active, pouring its efforts into exhibitions, communications, and collaborations with hotels and shops. Meanwhile, in addition to their art, the association’s artists are proactive in diverse roles, be it their jobs or their work to develop the next generation of artists. It seems to me that the members are fighting the crisis of the craft shared by the members that can only be done in the association by being proactive, even though they have diverse roles such as individual work and training of future generations in addition to producing works. In addition, exchanges with overseas organizations are gradually increasing, and there is a growing sense of expectation among post-Covid-19 pandemic associations that their efforts toward a brighter future are beginning to bear fruit. In this way, we are beginning to see the strengths and possibilities that only a collective organization can offer.

To conclude, I pray that the great roles and efforts of the Kyoto Kogei Association are carried forth to the next generation, and I look forward to its continued development.

Sachiko Sugama
Chief Curator
The Museum of Kyoto


会場情報

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