はっきりした四季があり、森林が多くを占める日本では、古くから身近にある木や竹を使ってさまざまな道具や生活用品が作られてきました。竹は、強靭(きょうじん)で弾力性に富み、さまざまな幅や厚みに裂いて編める特性と、素朴で清らかな色調が好まれました。
我が国の竹工芸は,豊富な素材に恵まれて早くから発達し,縄文時代の遺跡からそれを示す遺品が出土しています。その後奈良時代には唐の技法が導入されて技術が進歩し,中世には茶の湯の流行とともに我が国独特の作風が見られます。近代以降,高い芸術性をめざす優れた竹工芸作家を輩出しています。
特に京都は山に囲まれた盆地で、竹の生産地として気候や地質・地形にも恵まれており、都市文化とも近くにあり、竹工芸が発達するには恵まれた環境と言えます。
竹は数百種類ありますが、竹工芸に用いられているのは、真竹・女竹・黒竹・寒竹など20種類ほどです。なかでも粘りがあり竹細工に適したマダケがよく利用されます。
竹工技術も竹の特色によって発達し、円筒形のままの竹を用いる「丸竹物(まるたけもの)」、細く割った素材“たけひご”を編み組みして造形する「編組物(へんそもの)」があります。
編組物にはさまざまな種類があり地域によって呼び方はさまざまです。籠の編み方は六ッ目編みである甲羅編み・四ッ目編み、甲羅編みをくずして三角編みにした鱗編み、あぜくら組などがあります。
仕上げは素地(きじ)を生かしたもの、植物染料により染めたもの、漆を用いて着色するなど変化に富んでいます。