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工芸美術とは

皮革(ひかく) Leather

 皮革(ひかく)とは皮革工芸のことを言います。原始時代の人々は厳しい自然の寒さや、外敵から身を守るため、動物の毛皮や皮を身に纏っていました。その後、皮の鞣(なめ)しや加工が工夫され革となり、それぞれの民族や国々によって多種多様に現在も発達を遂げています。

 工芸の分野、ここでは、レザークラフト、金唐革(きんからかわ)、皮影戯(かわかげげき)、の分類にしたいと思います。


素材について

 レザークラフトで用いる革は一般的にタンニン鞣しの牛革や馬革で、レリーフや彫りを施すので、革の厚みは1~2.5mmを使用しています。金唐革は合金箔を貼るので、0.4mmの仔牛や羊の革を用いています。皮影戯で、使用する皮は動物の皮を鞣し、生革をつくり、透明感のあるものを使用します。0.5~1.8mmの生革を扱っています。


レザークラフト技法

 タンニン鞣しの革に原図をカービングし、その周囲に工具をあて、木槌で打って立体感をだします。その彫りには、伝統彫り、逆彫り、透かし彫り、線彫り、影彫り、写生彫り、浮き彫り、があります。着色は絵具、液体染料、金箔、銀箔、顔料、等です。

 15世紀初頭、コロンブスがアメリカ大陸発見により、スペイン、メキシコ、アメリカ西部へと伝わり、革工芸が唐草模様を彫り込んだ独特な革工芸へと高められました。第二次世界大戦後、進駐軍により、その技術がレザークラフトとして日本に伝わりました。工芸美術では、作家自身のデザインを原図として、革の持つ可塑性に加え、牛、馬、羊、豚、等の特性を活かして、レリーフ状、打つ、彫る、重ねる、編む, 等いろんな組み合わせをし、平面・立体等で作品を造形、制作するのです。


金唐革(きんからかわ)技法

 金唐革は、粘着性のある特殊な天然塗料を使って合金箔を革全体に貼り 原図を元に 作成して、金型に入れ、プレス機に圧力をかけて文様を革に型押しをします。そして、金ニスで金色に着色後、絵の具や、顔料、金箔、銀箔、等で彩色して仕上げています。

 金唐革は、イタリアをはじめヨーロッパの宮殿や寺院の革壁として使われ、ルネッサンスからロココ時代までの約300年の間にだけ作られた幻の芸術と呼ばれています。日本には17世紀に徳川幕府に献上され、明治時代には宮殿等で使われていた古いものが日本で煙草入れや薬籠(薬箱)等に貼られて珍重されました。ロココ時代以降、造られなくなり、この金唐革は科学の発展と長年の研究により現在日本で復元されています。


皮影戲(かわかげげき)[ピーインシー]技法

 皮影戲とは革の影絵を用いて芝居をする演劇の事で、影絵の人形は、ロバ、ヤギ、牛、馬、などの動物の皮を鞣して生革(半透明)を作ります。生革に下書きを描いて、繊細に彫刻をし、その彫りは、3000種類ほどあると言われています。絵の具や液体 染料、金箔、銀箔、等で彩色したものに桐油を塗って乾かして仕上げています。

 中国影絵の歴史は唐の時代で、当時の人形は紙人形でしたが、南宋時代から生革が使われるようになり、トルコから南アジア、インドネシアまで広がり、各地独特の影絵人形が散見されるようになりました。皮影戲は2011年ユネスコで人類無形文化遺産リストに登録されています。


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