金工とは金属工芸のことを言います。有史以前から人類は金属の発見によって、その金属を技術的にも美術的にも開発するべく情熱を傾けてきました。そして我々の生活の中になくてはならないまでになりました。工芸の分野では技法により鍛金(たんきん)・彫金(ちょうきん)・鋳金(ちゅうきん)の3つに分類することができます。
金工とは金属工芸のことを言います。有史以前から人類は金属の発見によって、その金属を技術的にも美術的にも開発するべく情熱を傾けてきました。そして我々の生活の中になくてはならないまでになりました。工芸の分野では技法により鍛金(たんきん)・彫金(ちょうきん)・鋳金(ちゅうきん)の3つに分類することができます。
鍛金・彫金に於いて多く使われるのは、金、銀、銅、鉄、錫などの純金属ですが、時には銀と銅の合金である四分一(しぶいち)、銅と金の合金である赤銅(しゃくどう)や、銅と亜鉛の合金である真鍮など、表現や用途に合わせて選択されます。時にはチタンを使用することもあります。ジュエリーに於いては強度が要求されますので、多くは合金で用います。金・銀・プラチナに混ぜるものとしてさまざまな色の変化も要求されますので、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)などが使用されます。
鋳金に於いては、金属を溶かして流し込むために、融点を下げたり流動性をよくしたり、強度を得るなどの理由で銅に亜鉛や錫などを混ぜます。茶釜などにおいては鉄に炭素が多く入ることが特徴です。
圧延から始まり、圧延された金属を金槌や木槌で当金という鉄製の道具に当てて、金属板を打ち縮めたり延ばしたりして成型する技法で槌起とも言います。また、金属棒や金属塊を打って形成することを鍛造、金属板を折り曲げたり鑞(ろう)付け、溶接して立体物をつくる板金などをいいます。叩くことで強靱な金属を得ることができますので、農具や工具、刀剣といったものは鍛造で造られます。金槌で叩かれてできる金槌で打った模様(つちめ)は魅力の一つです。
金属の表面を鏨で切ったり押したりして彫技を施す技法です。金属に別の金属を嵌め込んだり被せたりまた鏨で立体的な彫刻をおこなうこともあります。日本の彫金技術は弥生時代にはすでに発達していて、透彫(すかしぼり)・毛彫・蹴彫・肉彫・片切彫・魚子(ななこ)・象嵌(ぞうがん)など多岐にわたります。また、錺やジュエリーも彫金と言っていいかも知れません。
鍛金と彫金は切り離せません。鍛金でできたものに、彫金の技術で装飾を施す事が多く、両者が上手く融合して工芸美が表現されます。
金属を高温に熱して溶解し、鋳型に流し込み、型に応じたかたちを形成する技法で、堅い金属を自由な形に成型できる利点があります。歴史的には弥生時代の銅鐸や銅剣、奈良の大仏に代表される仏像、梵鐘などが例としてあげられます。金属を溶解して流し込むために、さまざまな合金を作り流動性を得る工夫がなされています。鋳型によって生型鋳造・焼型鋳造・鑞型鋳造・乾燥型鋳造等が挙げられ、茶釜は乾燥型鋳造にあたります。ジュエリーの製造においては、同じものを多量に作れる利点が有り、3Dプリンターによる原型製造や遠心鋳造や真空鋳造といったさまざまな技法が開発されています。
金属は大気中の酸素や硫黄などによって変色する、いわゆる錆が生じるため、表面処理が不可欠となります。錆を故意に薬品等で強制的に硫化、酸化させて色付けし、完成後の変色を和らげ、また表現として利用します。金やロジウムなどの錆びない金属をメッキしたり、押箔することもあります。作家それぞれが独自の表現のために、様々な技術を駆使しています。